鯛しゃぶ

2020-12-31

Cooking

近畿圏にやって来て驚いたことの一つは、白身魚の豊富さだった。スーパーに行けばほぼ必ずてっちり用のフグや、タラ 、カレイといった白身魚が並ぶ。鮭も多い。それに、赤身ではあるがブリやヒラマサもよく食べられている。鯛も当たり前のように売っている。


鯛しゃぶを作りたくなり、スーパーで安く売っている鯛を1尾卸してもらう。ウロコと内臓を取ってもらい、アラも一緒にもらっておく。家に帰ってアラに霜降りをして炊く。炊くときに昆布出汁を入れる人も多いが、鯛の頭があれば出汁はこれだけで出る。乳白色になった汁を綺麗に濾す。これで鯛しゃぶ用の出汁が出来る。鍋に出汁を張るとダイニングのライトに反射してキラキラ光る。ガスコンロに乗せて火にかけると、クツクツと出汁が煮えて良い香りが立つ。


薄く切った鯛の背と腹の身を出汁にくぐらせて口に入れる。濃厚な鯛の旨味が口の中いっぱいに溢れてきて、思わず笑みがこぼれる。そのまま日本酒を流し込んで、また笑みがこぼれる。西に来なければ、白身魚の美味さには気付けなかったのではないかと思う。特に鯛をこれほど食べるというのは、関東、東海圏に居たら出来ない体験だったと思う。鯛の切り身を一切れ一切れ大事に口に入れ満足したら、今度は旭ポン酢につけて食べる。


旭ポン酢も近畿圏に来て驚いたものの一つだ。ゆずやすだちを始めたとした様々な柑橘が入り混じった爽やかな香り。柑橘系のポン酢はいくつもあるが、これだけ多様な香りがして酸味も強いポン酢は、他にないのではないかと思う。近畿以外に住んでいる方にも、是非試してもらいたい逸品だ。


西に移り住んで、気が付けば長い時間が経ってしまった。故郷の香りも遠くなり、新しい故郷が味となって身体に染み込んでゆくのを感じながら、大晦日、消えつつある故郷の光景に少しだけしんみりとした。


[レシピ] 

材料

  • 鯛:1尾 ※鯛アラと造り用の切り身を別々に買ってきても良い
  • 水と酒:比率は水2 : 酒1くらい
  • 季節の野菜:白菜や白ネギ、えのきが特に美味い
  • 薬味:三つ葉が美味い
  • ポン酢:旭ポン酢が最も美味い


作り方

  1. ボウルに入れた鯛のアラへ塩を振って15分程待つ
  2. 「1.」にひたひたになるくらいまで熱湯を注いで3分程待つ
  3. 「2.」をザルに移し替えて熱湯をこぼす
  4. 流水をアラにかけつつ指でアラについている汚れやウロコを落とす
  5. 鍋に水と酒、アラを入れる ※熱湯にしなくてよい
  6. 火をかけて煮立ったら少しだけ強くした中火で10~15分程アクを取りながら煮る ※火が弱すぎると酒の匂いが抜けない
  7. 汁が乳白色になっているのを確認してからふきんなど(キッチンペーパーでも良い)を使ってボウルに漉す
  8. 切り身を薄く切る ※切り身に骨があるようなら抜いておく
  9. 季節の野菜を食べやすい大きさに切る
  10. 汁を鍋に張り野菜と切り身を皿に盛り合わせて完成


食べ方

汁を弱火にかけて、切り身をくぐらせて食べる。何切れか食べたら、その後にポン酢で食べると美味い。

切り身をある程度食べたら野菜を煮る。煮詰まってくるようなら、昆布出汁や水を加える。

締めを食べる場合、炊いた米を入れて雑炊にすると良い。硬めに茹でたそうめんを水洗いして鍋に入れて軽く煮込み、鯛にゅう麺にしても良い。どちらも三つ葉を添えると美味い。