そんな時に、季節外れの魚で何か美味いものを食べてみたくなる。例えば秋刀魚。三重県の一地方では、脂の抜けた秋刀魚を円形にした干物がある。目黒の秋刀魚が一番だ、なんていう噺もあるが、この、脂の抜けて身が締まった秋刀魚の干物が美味い。噛み締めるように食べると、赤魚の様な旨みがある。それなら、初鰹でも戻り鰹でもない、今の鰹を味わったらどうだろう。
味醂と酒を合わせたものに、ペースト状になる程度で味噌を練り込む。そこに鰹や好きな赤魚を漬ける。貝割れや紫蘇、好みによって大蒜を刻む。その上に、漬け込んだ魚を乗せる。
噛んでも噛んでも旨みが消えない口の中を、冷酒や白米で洗い流す。そうすると、うだるような湿気が、身体から払われる気がする。赤魚の美味さは、工夫で梅雨を乗り切る楽しさを与えてくれる。これに、良い梅干しでも舐めながら、鬱陶しい季節をむしろ楽しんで過ごしてやりたい。
[レシピ]
材料
- 鰹:切り身で適量
- 味噌と味醂と酒:味噌は多め、味醂と酒は1:1
- 薬味:貝割れやブロッコリースプラウト、大蒜などなど好きな薬味
作り方
- 味噌と味醂と酒を混ぜる(酒は煮てアルコール分を飛ばしておくのも良い)
- 「1.」を半量だけバットなどに引き延ばす
- バットなど、「1.」を引き延ばしたところにガーゼをかける
- 鰹の切り身をガーゼの上に乗せる
- 「4.」の上にガーゼをかけ、「1.」の残りをガーゼの上に引き延ばす
- ラップなどで「5.」の上に漬物石を乗せるように敷き込む
- 冷蔵庫で保存し、数時間おく
- 刻んだ薬味を皿に盛り付けて、その上に「7.」で漬けていた切り身を乗せて完成