秋がやってくる。そんな季節から牡蠣は、紅葉が色づく様に少しずつその味を深めてゆく。「R」のつく月が牡蠣の美味しい時、などと言われる。口に出して言ってみる。November、December……February……April。
Octoberをいつも忘れてしまう。
中国の南東にある広東省、その東側の海に近い地域に、「潮州料理」と呼ばれる料理がある。潮州料理は油を多用しない、魚介を豊富に使う、といったところに特徴がある。あっさりしていて、素材の味を活かしたものが多い。牡蠣は潮州料理でもよく用いられるものらしい。オムレツにしたり粥に入れたりと、日本人にはあまり馴染みのない使い方をする。
潮州料理を扱った番組を見ていた際、潮州風のナンプラーソースに漬けた生牡蠣を紹介していた。簡単にできそうなものだったので作ってみたら、濃厚な牡蠣の風味にナンプラーソースが絶妙に絡み合っていた。ひとつ、ふたつ、みっつ。酒を飲み干し、またひとつ、ふたつ……。予想していたよりもずっと美味で、あっという間にぺろりと食べてしまった。ねっとりとした味わいの食材によく合いそうなので、湯引きした白子にもよさそうだ。
旬を迎えてぷっくりとふくれた牡蠣の肌は、陶器の様になめらかだ。香り立つナンプラーソースにそれがねっとりと沈んでゆく様子は、いささか背徳的な感じもして面白い。
[レシピ]
材料
・牡蠣(生食用、あるいは事前に蒸したもの):食べたいだけ
・ナンプラー:ほどほど(多すぎると塩辛くなる)
・コリアンダー:粉末のものを、風味を感じるくらい多めに
・赤唐辛子:好みに合わせて
・シャンツァイ(パクチー):好みに合わせて
・砂糖:甘さを感じられるくらい多めに
作り方
1) 牡蠣を洗って汚れを落とす
2) 赤唐辛子の種を取って輪切りにする
3) シャンツァイ(パクチー)を刻む
4) ナンプラー、コリアンダー、赤唐辛子、シャンツァイ(パクチー)、砂糖を合わせる
5) 「4)」に牡蠣を入れ、しばらく漬けておく(10分しないくらいでよい)
6) 漬け汁と一緒に皿に盛り完成