天球儀文庫

2012-09-23

Books

天球儀文庫 (河出文庫)

10年以上前、「天球儀文庫シリーズ」と銘打たれた本を、どこかの古本屋で手に取りました。
当時発売されていた天球儀文庫シリーズは、4冊から成る小説でした。この作品で、作者である長野まゆみの存在を知りましたっけ。

主人公はアビと宵里(しょうり)という、2人の少年。秋から始まり夏で終わる、彼らの純粋無垢な1年を描いた物語です。
当時の版は1冊で1つの季節が終わるよう作られていて、それぞれのエピソードが季節感たっぷりに書かれています。今でも、ラストシーンの美しさを思い返しては感傷に浸ることが。

90年代の長野まゆみ作品は、稲垣足穂、宮沢賢治の流れを汲む、幻想的な世界の中に望郷の念を強く思い起こさせるような作品が多いです。こういう世界観は、僕は昔から大好きです。故郷を出て、他の土地で暮らしている今は尚更その傾向が強くなっています。

また、この作品には様々な「お菓子」が登場します。 
その中で一際印象的だったのは、ミキサーで缶詰のフルーツをシロップごとかき混ぜ、それを凍らせて作る「アイスドロップ」。今年作ろうかと思っていたのですが、結局やらずじまいでした…。 ミキサーが手に入ったら、冬でもいいから作ってみたいですね。 

以前の天球儀文庫シリーズは、現在絶版になっているようです。今は鳩山郁子の挿絵がない「天球儀文庫」が販売されています。
絶版になっている4冊は装丁も素晴らしいので、コレクション欲のある方は保存用に4冊買っておくのもいいかもしれませんね。旧版の、それぞれのタイトルは以下です。 

【旧版タイトル】 

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