ずーっと気になっていたのですが、終ぞ読まずにいた一冊を読了。
「ビッグ・イージー」と呼ばれるニューオリンズ住民の高カロリーな血液を摂取し続けた結果、200kgを超える超肥満体になってしまった白人ヴァンパイア、ジュールズの悲哀を描いた作品です。
この小説、原題は「FAT WHITE VAMPIRE BLUES」と言います。とても洒落たタイトル。
邦訳のタイトルは、ウケを狙い過ぎですね。
全体としてはコミカルなストーリーなのですが、本筋は意外にもシリアス。後半は特に、でしょうか。
この作品で特筆すべきは、あのB級映画「ブラキュラ」以来の黒人ヴァンパイアが登場する事です。
さすがニューオリンズ。
吸血鬼小説がお好きな方は、ちょっとした息抜きに読むと楽しめそうです。
ラストシーンの情景は、昨今の小説でも屈指のパンチ力ですね。
アン・ライスが書いた「夜明けのヴァンパイア」でもニューオリンズは序盤の舞台となりましたが、レスタトよりもジュールズの方が見ていて好ましいです。
オタクで、不器用で、デブ。そんなヴァンパイアの、笑えて切ないこのお話を是非あなたにも。