画家バルテュスは、猫を題材にした絵を多く残しています。
猫を愛し、猫人間を自称した彼の少年時代の素描画集が本作「ミツ」です。
「ミツ」という名前、日本的だなと思っていたのですが、「ミツ」は「光」、つまり純粋に日本名なんですね。
バルテュスの東洋への憧れが象徴されているようで、思わずクスリとさせられます。
この素描画に魅せられたリルケが序文を書き、小冊子として当時出版されました。
「瞳孔の魔術的な拒否を、私たちに突きつけている」と、猫を哲学的な存在として語っています。
バルテュスの少年時代を垣間見ながら、「猫の王様」である彼の本質を見つめる一時をくれる一冊。