吸血鬼小説の原典「ドラキュラ」ですが、原作は登場人物の日記、手紙を読む形式で話が進みます。
つまり語り手がいないんです。慣れていない方にはコレが読みにくい。
そういうわけで、誰もが知っている吸血鬼、しかしその原作を読んだ方は意外に少ないのかもしれません。
この絵本の「ドラキュラ」ですが、その少々難解な原作をコンパクトに纏めてくれています。
原作をご存じない方は、まずこちらを読むと良いかもしれません。
挿絵はバンド・デシネ作家のブリュチ。
彼の描く沈鬱な絵柄が、本作のホラー部分を強調していて良い感じです。
ただ、原作と比べるとかなり脚色されているのも事実です。一応後書きに原作のあらすじも書かれていますが…。
そういうわけで、こちらを読んで興味をお持ちになられた方には原作を読むことを是非オススメします。
原作既読の方は、併読すればまた面白さが。
原作に近い映画としては、1992年に公開されたフランシス・フォード・コッポラの「ドラキュラ」がオススメです。
こちらも原作通りとはいきませんが、ドラキュラ城へ向かうまでのシーン等、原作を読み解く一助になるかと。
そして何より先日亡くなられた石岡瑛子さんがデザインした衣装が素晴らしいです。
絵本、映画、原作と、流れるようにご覧になれば、めくるめく吸血鬼の世界にドップリと浸ることが出来そうですね。