皆川博子の過去作品群が、ここ数年で次々と文庫化されています。
「鳥少年」も、単行本から文庫化されることと相成りました。
文庫化に際して、単行本未収録作品を三作収録。未収録作品の表題は、以下です。
- 「泣く椅子」
- 「バック・ミラー」
- 「沼」
単行本の頃から印象に残っている作品としては、「火焔樹の下で」でしょうか。
精神医療法としての絵画療法によって絵の才能が開花した青年を巡る、書簡形式の破滅型ミステリー。
表題の「鳥少年」、それと「坩堝」、文庫版で収録された「沼」も、面白い作品です。
「沼」は文庫版になって初めて読みましたが、余韻が素晴らしい佳作です。ラストシーンから先の話を、あれこれと想像してしまいます。
装画は気鋭の画家、伊豫田晃一 氏。装画で唸ったのは、久しぶりのことです。こちらも合わせて、楽しめる一冊。