もう、何年前のことか。尊厳死について考えた際に出会った本です。
一人の人間の絶唱。本書を評するには、これ以外は蛇足になりそうです。
著者ラモン・サンペドロは、事故によって四肢麻痺に陥り尊厳死を望みましたがその願いは受け入れられず、最終的に自らの手で三十年の「地獄」と称した人生に幕を降ろしました。
思うことがあり今回再読しましたが、初めて読んでから数年を経ても「一人の人間として生きること」の難しさを痛感します。
以下蛇足。
表題の「海を飛ぶ夢」ですが、これはラモンが著した際の表題ではありません。ラモンの死後、彼の人生が映画化された際に付けられた邦題です。
彼が付けた本来の表題は、「地獄からの手紙」。こちらの方が、彼の人生を主観的に象徴していると思います。