月に開く襟

2012-12-31

Books

月にひらく襟

年内最後のしっかり読書(?)は、何度読んだか定かでない、鳩山郁子「月に開く襟」でした。

鳩山さんの作品は少年の透明性、自儘さ、彼らが常に持つ小物たち。そういったものから広がる美しい世界にあふれています。本書(実際にはガロで読んだのですが)に収録されている「リリー、ランタン、ロータス」を読んだ時、すっかり虜になってしまいました。

「リリー、ランタン、ロータス」。螺子式万華鏡の世界、蓮の花が咲く池。夏至の園遊会で灯されるランタン。そういったアイテムの一つ一つが、今も僕の心象風景に語りかけます。少年性の枯渇は、ある潜在的な魂の死と同義だと、あの日から強く思い続けて、今もこうして生きているような。

他に収録された作品の中で、「Blue bell knoll」も印象深い話。あの鐘の音も。

そんな事をぼんやりと思いながら、ジンをゆっくり飲み干しながら。暮れていく年末です。皆様も、良いお年を。

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