アレハンドロ・ホドロフスキー原作、メビウス絵の漫画です。ホドロフスキーとメビウスのタッグでは、「L'INCAL(アンカル)」や「猫の目」などが、邦訳された他作品として存在します。
この「天使の爪」、表現手法が一風変わっています。左に小さな一枚絵と文章、右に大きな一枚絵。右の一枚絵をメビウスがまず描き、その絵にホドロフスキーが文章を付け、最後に文章に対応した一枚絵をメビウスが描き、左に配置する。この構成で物語は進んでいきます。
左の一枚絵を見ながら文章を読み進めるのが分かりやすいのですが、文章の本質は右の一枚絵にある、という大変特異な構成です。
巻末の訳者からホドロフスキーへのインタビュー記事では、ホドロフスキーによる作品の詳細な解説と、二人の巨匠が創り上げたL'INCAL(アンカル)、その化け物じみた製作過程を垣間見ることも出来ます。
禁忌のエロスとサディスティックの果てに少女が辿り着く変容。その衝撃のラストは是非、本書を手に取り御一読ください。