そんな生物達の、奇妙奇天烈摩訶不思議な生態を取り扱った本をいくつかご紹介。
また、生物学とは些か離れますが、とある怪奇小説の原案となった恐るべき実験記録も併せて。
- 鼻行類
南太平洋にある、ハイアイアイ群島において生息していた「鼻行類(学名:Rhinogradentia)」の驚くべき生態を綴った一冊。ハラルト シュテュンプケ
平凡社
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鼻行類の特徴は、通称の「ハナアルキ」と呼ばれるままの、その行動形態です。
彼らは鼻を歩行器として進化させました。また、それだけに留まらず、鼻を使った捕食行動を行ったり、エラを持たずして鼻を伸ばして呼吸できるよう進化し、水中での生活を獲得した種等、非常に多岐に渡る生態系を確立していました。
非常に残念な事に、1957年に行われた核実験における地殻変動でハイアイアイ群島は海没、鼻行類は絶滅しました。 - 平行植物
表題に「植物」とありますが、彼らの定義は未だに議論の余地を残しており、度々論争の的となっています。
人間が通常知覚することすらできない世界に存在する彼等。
古代の伝承より度々その存在が確認されていましたが、レオ・レオーニが1970年代に出版した「La botanica parallela」によって一躍脚光を浴びます。
本書はこの「La botanica parallela」の邦訳です。
先に述べたとおり、彼等は人間が存在を知覚することができません。
ある瞬間存在し、次の瞬間には消えている。
突然現れては消える。そこにあるのに存在しない。
そんな超現実的で不可解な彼等の生態を、実直な研究から導かれた貴重な学説によって垣間見ることが出来ます。 - 秘密の動物誌
ペーター・アーマイゼンハウフェン博士が残した、とある観察記録。ジョアン フォンクベルタ ペレ フォルミゲーラ
筑摩書房
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そこには現実に到底存在する事はないと思われていた、伝説上の動物の写真、解剖図、生態記録が膨大な量で存在していました。
翼の生えた象、ケンタウロス等、実在を疑うばかりの驚異の生物が写真として実際に目の前に登場します。
また彼等の生態をアーマイゼンハウフェン博士は良く記録しており、この不可思議な生物達の生態が学術的な観点から詳細に論じられています。 - フランケンシュタインの日記
フランケンシュタインというと、メアリー・シェリーの小説「フランケンシュタイン(あるいは現代のプロメテウス)」が有名ですが、彼女がこれを著したのは若干19歳の頃。学習研究社
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ディオダディ荘に集まったバイロン、クレア、ポリドリ、パーシー・シェリー、そしてメアリー・シェリー。
彼等がお遊びで作った怪奇小説。
その中のバイロンが残した断片から着想を得て「吸血鬼」、「フランケンシュタイン」は誕生したと言われています。
しかしバイロンが残した断片は主にヴァンパイアに関する物でした。
では、一介の素人に過ぎないメアリー・シェリーが何故その断片から後世に多大な影響を及ぼす怪物像を得ることが出来たのか?
実は、このフランケンシュタインにはモデルが存在します。
メアリー・シェリーはこのモデルの残した者から着想を得たのではないか、と一部で言われています。
18世紀に書かれた、ヴィクトール・フランケンシュタインの日記がそれです。神童と呼ばれ、電気刺激と筋肉の運動(ガルヴァーニの研究)に取り憑かれ、人体の創造、生命の復活という狂気の実験を行った彼。
その彼が残した日記が発見され邦訳された物が本書です。
おぞましい人体実験と、狂気の結末が綴られたこの日記。 博士が残したスケッチ等も交え、生々しく当時の情景を思い起こさせます。
世の中には、信じられない事があるものですね…。