ネクロフィリア

ネクロフィリア

ガブリエル・ヴィットコップの処女作。
或るネクロフィリア(屍体愛好家)の、静かな日々を綴った小品です。
タナトスに導かれるが如く、屍体を掘り返し、慈しむこの主人公。
偏執的である事は疑いようもありませんが、彼が綴る日記の一言一句が強烈に響きます。

日本でも屍体を題材にした小説は沢山あります。
代表的な所では、江戸川乱歩の「白昼夢」「蟲」、吉村昭の「少女架刑」等々。

ガブリエル・ヴィットコップの本作は、この手のお話とは一線を画す物です。
物体と化した屍体には、生前の個性、エゴイズム等はありません。
ただ純粋に、「対象」としてのそれが存在するだけです。
物体は見返りを求めず、また只々与えることのみの喜びを提供する媒体と言えます。
本作「ネクロフィリア」の主人公はそんな「物体」を愛し、時折過去の恋人たちに思いを馳せます。
何ともおぞましく、美しく、暗く、静かな世界観。

強烈な個性を放つ、異色の文学。
大推薦の一冊です。

Sho Yanagihara

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