スーパーマン:レッド・サン

スーパーマン:レッド・サン (ShoPro Books)

クリプトン星の宇宙船がアメリカに墜落した際に、赤ん坊がそれに乗せられていた。本家のスーパーマンは、こんな始まり方です。ご存知の方も多いでしょうが。

この「スーパーマン:レッド・サン」は、その宇宙船がもしソ連に墜落していたら?という設定で始まる、パラレルストーリーを描いた作品です。
このストーリーを手がけたのは、マーク・ミラー。そう、あの「キック・アス」の作者です。なるほど、このひねくれた設定も、彼なら納得。

あのスーパーマンが、スターリン、社会主義、そして、共産主義の同胞の為に活躍し、犯罪のない、戦争と貧困もない、全ての国民が職に就き、趣味を謳歌し、子供は学び、8時間の睡眠を得ることの出来る理想社会の為に戦います。
アメリカだろうがソ連だろうが、何処にいようと彼は彼。純粋に人の為に戦う姿に何も変わりはありません。

むしろ配役の妙を勝ち得たのは、ライバルであるレックス・ルーサーではないでしょうか。本作ではスーパーマンのいないアメリカ側の人間という事もあり、これもまた面白い立ち位置に。相も変わらずの悪役なんですがね。
他にも出てくるDCコミックスの面々も面白いのなんのです。バットマン、ワンダーウーマンがあんな形で出てくるなんて、と驚きを隠せません。あともう一人、あのキャラも。

こんなハチャメチャな設定のIFストーリーなんですが、脚本構成の完成度が見事。この話、どうやってオチをつけるんだろうと心配になりながら読み進めていきましたが、ラストシーンでびっくり。なるほどこのオチは二重丸です。

スーパーマン作品の中で、最も異端的な作品です。価格も他のアメコミ作品に比べると非常に安いので、お勧めしやすい一冊。

Sho Yanagihara

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