眠れない一族

眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎

イタリアの、とある一族。
彼等は呪われた血統でした。
一族に色濃く残る、とある遺伝子。これを受け継いた子孫は、中年期に差し掛かる頃突然不眠状態となり死んでいく…。

致死性家族性不眠症(FFI)と呼ばれるこの難病は、社会現象にもなった狂牛病、パプアニューギニアの部族で流行したクールー病、羊に流行したスクレイピーと元を同じくする、プリオンによってもたらされるものでした。

「プリオンって何?」という方は、是非本書をご一読下さい。
筆者はその陰影の濃い重い文章で、プリオンの起源を様々な時代から辿っていきます。
最終的に行きついた、八十万年前の人類。
そこで行われていた、ある習慣とは?

狂牛病が流行った頃、プリオンに関する書籍が日本でも出ましたが、ここまでプリオンについて深い洞察や理解を示したものはないでしょう。
さらに、全体としてサスペンス、ミステリーの様相を呈して話は進んでいきます。この辺りの文章構成力にはいやはや脱帽です。
今年は当たり本が多い気がしますが、その中でもこれは屈指の出来。

各時代でプリオンに対して人類はどう対処してきたのかが描かれますが、その中でもプルジナーとガイジュシェックという二人の研究者のエピソードは特筆ものです。
この二人のエピソードだけでも、本がそれぞれ1冊ずつできてしまいそうな…。

ミステリー好き、医学物好き、ゴシックホラーが好きな方も、必読の一冊。

Sho Yanagihara

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