ドウエル教授の首

ドウエル教授の首 (創元SF文庫)

アレクサンドル・ベリャーエフの処女作です。
ベリャーエフはロシアのジュール・ヴェルヌとも呼ばれていて、数は少ないですがキッチュなSF小説をいくつか書いています。

この「ドウエル教授の首」ですが、最初に読んだ時は小学校の図書室、その時のタイトルは「合成人間ビルケ」といいました。
所謂、子供向けの抄訳版の本ですね。
今では同じ内容の抄訳版がタイトルを変えて出版されています。(現在のタイトルは、「生きている首」)

ストーリーは、前半怪奇物、後半ロマンスと活劇の二つの場面で分けられると思います。
前半のおどろおどろしい、フランケンシュタインを思い起こさせるシーンは読んでいてワクワクさせられます。
後半はいささか足早に進む感もありますが、作品としてはおもしろいです。

個人的に怖いのは、中盤の精神病棟のシーン。ヒロインをあの手この手で発狂させようとする院長が登場するんですが、この方法が実に陰湿。
人間の心理に長けている人が、人間の心を壊そうとするとこんな感じなのかな、とゾッとさせられます。
ベリャーエフはこの小説を書く前に、脊椎カリエスで首から下が麻痺した状態で過ごした経験があるそうです。
なるほど、首だけで生きている人間の描写はやたらリアルです。

1920年代の小説ですが、今も色あせず。素晴らしい。

Sho Yanagihara

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